相続税で土地や建物はどう評価する?|不動産相続の相談窓口|株式会社マトリックストラスト
相続税対策を考える上で、土地や建物の評価方法がどうなるのかは重要なポイントです。相続税に関する相談でも、土地や建物の相続対策を検討されている方が多くいらっしゃいますが、適切な評価方法や効果的な節税方法を知らなければ、具体的な対策を立てることはできません。今回は、土地や建物の評価方法、そして節税対策についてお伝えします。
❏ 土地の評価方法には何がある?
土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。なお、この2種類の評価方法は相続税での資産評価だけでなく、贈与税での資産評価にも用います。
□路線価方式
路線価方式は、道路ごとに付された1㎡あたりの路線価に、土地の面積を乗じて評価額を算出する方法です。計算式としては次のようになります。
路線価×地籍(㎡)=評価額
実際には、土地の形や利用しやすさ、道路との接し方により調整を行うことになります。一般的に、複数の道路に接していると評価額は上がり、土地の奥行きが極端に長いもしくは短い、または土地と道路の接する部分が短いと評価額が下がる傾向にあります。
路線価は国税庁が毎年7月に発表する路線価図で見ることができます。国税庁のホームページでも確認できます。
□倍率方式
市街地以外、路線価が定められていない地域における評価方法です。その宅地の固定資産税評価額に定められた倍率を乗じて評価額を算出します。計算式は次のようになります。
固定資産税評価額×倍率=評価額
ここでいう「固定資産税評価額」とは、市区町村(東京23区は都)の固定資産課税台帳に記された価格です。毎年4月から6月頃に届く固定資産税・都市計画税納付通知書に同封されている課税明細書、もしくは各市区町村役場で固定資産評価証明書や名寄帳を交付してもらい、確認することが出来ます。尚、固定資産税は各市区町村で管轄する地方税であるため、複数の自治体に不動産を所有する場合は、それぞれの市区町村役場の税務課等で確認する必要があります。
実際の評価倍率は国税庁のホームページで確認することができ、一般の土地等・大規模工業用地・ゴルフ場用地等といった区分ごとに設定されています。
□災害を受けた地域においては「調整率」で補正
限定的ではありますが、震災や風水害などにより被害を受けた地域においては、評価額を低めに調整する「調整率」が設けられることがあります。
2024年能登半島地震により被災した地域についても「調整率」が設けられています。対象となる地域やそれぞれの調整率は国税庁のホームページで確認できます。
❏ 建物の評価方法には何がある?
建物はその敷地と区分して評価します。評価の際、「固定資産税評価額」を用います。固定資産税評価額は、先述の通り、固定資産税・都市計画税の納税通知書もしくは固定資産課税台帳等で確認でき、その目安は建築費用の50~70%程度とされています。
□建物の評価額
居住用など、賃貸に供していない建物は次の計算式で評価します。
固定資産税評価額×1.0=評価額
❏ 評価額が下がる場合
相続税対策として気になるのが「どうしたら評価額が下がるのか」という点です。相続税は資産の評価額で決まる部分が大きいからです。次のような場合には、評価額が下がります。
□借地権が設定されている場合(土地)
他人に土地を貸している場合、あるいは他人から土地を借りている場合、通常「借地権」が設定されています。借地権が設定された土地は自由に売却などができないため、自用地よりも評価が下がります。
□土地が居住用や事業用に供されている場合(土地)
土地がその土地の持ち主の居住用や事業用、賃貸借などに供されている場合には、「小規模宅地等の特例」により、評価額を50~80%下げることができます。ただし、一定の要件を満たすことが前提になります。
固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)=評価額
借家権割合は全国一律で30%と定められています。また、賃貸割合は賃貸している部分の床面積の比率で計算します。
節税を検討するならば、まず自己所有の土地や建物の評価額を知るとともに各種特例に該当する不動産なのか、要件を細かく調べていくことが重要です。


