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「自分は無関係」は危険!相続トラブルの 「ありがちな事例」と回避&解決術|不動産相続の相談窓口|株式会社マトリックストラスト

相続トラブルというとネガティブなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。特に近い将来に相続を控えている方にとって、相続トラブルは何としても避けたい一方、「ご自身の権利はきちんと主張・確保したい」と考えることは当然といえます。この記事では「相続トラブル」についてよくあるケースをご紹介し、トラブルを回避する方法、さらにトラブルが起きてしまった場合に弁護士などの専門家に依頼するためのノウハウなどについて解説します。自分は無関係と思わず、相続トラブルとはどういうものかを知り、それを回避するための有効な手立てを講じていきましょう。

❏ 相続トラブルが「起こり得る」ケース6例

相続トラブルにはどのような事例があるのでしょうか。ここでは相続におけるトラブルが発生しやすい代表的なケース6つをご紹介します。

1. 「遺産の全部または一部が不動産であり、分割するのが難しい」ケース

遺産が現金や有価証券などであれば一円単位での分割が容易ですが、土地や建物などの不動産の場合、簡単に分割することができません。
特に不動産が1つしかない場合や、財産がすべて不動産の場合は相続人の間で不平等感が生まれやすく、相続トラブルに発展するケースが多くなります。このように不動産は簡単に分割できないという特性がある一方で、実際に相続されている遺産のうち、35%以上を不動産が占めているというデータがあるのも事実です。

出典:国税庁「令和6年分相続税の申告事績の概要」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozoku_shinkoku/index.htm

最新のデータによれば、相続財産の金額の構成比のうち、土地(30.2%)と家屋(4.8%)を合わせた「不動産」の占める割合は35.0%であることが分かります。

• 2026年現在の現行法規注意ポイント

不動産を相続するにあたっては、2024年4月から施行されている「相続登記の義務化(不動産登記法第76条の2)」への対応が必須です。不動産を取得したことを知ってから3年以内に登記をしないと「10万円以下の過料(同法第164条)」の対象となるため、分割協議の遅れはペナルティのリスクに直結します。

2. 「特定の法定相続人が遺産の独占を主張する」ケース

経済的な事情で少しでも多くの遺産が欲しいと考える人、「長男だから」「親と同居しているから」といった理由で遺産の全額相続を主張する人、相続人同士(兄弟間など)で不仲ゆえに遺産分割協議自体を避けたい人など、家族ごとに様々な事情があります。仮に一人の法定相続人が遺産の独占を主張したとしても、他の法定相続人には民法上最低限の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」があり、各相続人の権利は保全されています。
しかし、このような主張を崩さない人が相続人の中に含まれていると、話し合いが進まず相続トラブルに発展する可能性が高まります。

3. 「遺言の内容が特定の相続人に偏りすぎている」ケース

被相続人が自分の意向を反映するために遺言書を作成することがあります。その内容が特定の相続人に偏った内容になっていると、他の相続人から不満が出る可能性が高くなります。被相続人が「一緒に住んで世話をしてくれた人に手厚く財産を相続させたい」と考え遺言書にしたためるのは自然な成り行きかもしれません。
しかし、たとえ遺言書といえども、民法で保障されている他の法定相続人の権利である「遺留分(民法第1046条:遺留分侵害額請求権)」を完全に侵害することはできません。あとから金銭での支払いを請求され、親族間で激しい対立が起こるケースは非常に多いです。

4. 「相続発生前に同居家族が財産を使い込んでしまった」ケース

相続が発生する前に、被相続人と同居している家族が被相続人の財産を使い込んでおり、いざ相続が発生した時に「使い込みをしていた人の相続財産は少なくするべき」という意見が他の相続人から出るケースがあります。

本来であれば相続財産になるはずだった財産を減らしていることから、他の相続人から不満が出るのも当然といえますが、使い込みをした人が応じなければトラブルに発展します。平均寿命の延伸とともに、高齢者本人が財産を管理できないため同居している一人の子に委任しているケースが多くなっています。特に被相続人が認知症で判断能力が低下していた場合はこのケースに陥りやすく、近年問題になっています。実務上は、民法第703条に基づく「不当利得返還請求」や、民法第709条に基づく「不法行為に基づく損害賠償請求」などを用いて法的解決を図ることになります。

5. 「被相続人に財産だけでなく借金もあった」ケース

被相続人が他界後に借金があったことが分かり、そのまま財産を相続すると借金も相続することになってしまう場合があります。
被相続人が存命中に借金をしている事実を家族に伝えていないこともあり得ます。借金は個人情報であり、家族であっても被相続人が存命中に全容を把握するのは簡単ではありません。被相続人の借金が発覚し、その借金を相続することが相続人にとって不利益になる場合は、期限内に適切な手続きをとることで、マイナスの遺産を引き継がない選択をすることができます。

6. 「離婚歴があり前パートナーと現パートナーのそれぞれに子供がいる」ケース

被相続人に離婚歴があり、前パートナーと現パートナーの両方に子供がいる場合は、それぞれの子供に同等の相続の権利があるため、すべて法定相続人となります。このケースでトラブルが深刻化するのは、被相続人が他界した後初めて前パートナーとの間に子供がいることが分かり、その子供が法律上の正当な権利を主張してきた場合などです。面識のない者同士が遺産をめぐって交渉を行うため、感情的な対立も含めて非常に解決が難しくなります。

❏ 相続トラブルは「一部の資産家」だけの問題ではない

相続トラブルはドラマや映画の中の出来事であり、資産家でなければ無関係だと思っている方は多いかもしれません。この章では、相続トラブルが決して他人事ではないという事実と、その背景について解説します。

1. 「トラブルになるほどの財産はないから無関係」は厳禁

一般的な生活水準であると自覚している方は、「そもそもトラブルになるほどの財産がないので自分には関係ない」と考えてしまいがちです。しかし現実には、相続財産を巡って家族関係に亀裂が入ってしまった事例は数多くあります。「自分にも関係があること」という心構えをもって相続問題と向き合うことをおすすめします。

2. 裁判所の調停では「5,000万円以下」の案件が大半という事実

相続トラブルが資産家などごく一部の人たちだけの問題ではないことを示す、明確なデータがあります。最高裁判所がまとめた「司法統計年報(家事編)」という資料に、遺産分割事件のうち裁判所の調停・審判が成立(認容)した件数をまとめたデータがあります。そこには争いが起きた相続財産の規模別集計が示されています。

※裁判所
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/shihotokei_search/index.html
「年度:令和6年 編分類名:家事事件編」より検索

全件数が7,903件あるうち、1,000万円以下と5,000万円以下の合計は6,164件となり、全体の約78%を占める数値です。日本国内では一般的に保有する純資産規模が1億円以上の世帯を「富裕層」と定義していますが、遺産分割の裁判調停事例にはそのカテゴリーに属する人たちは少数派です。「相続トラブルの大半は5,000万円以下の資産規模で起きている」のが現実といえます。

3. 相続税の基礎控除と揉めないための心構え

現在、税額を計算するための基礎控除額は下記の通りです。
3,000万円 + 法定相続人1人あたり600万円
例えば標準的な4人家族(夫、妻、子ども2人)で夫が亡くなった場合、基礎控除額は以下のようになります。
3,000万円+ 600万円×3人分=4,800万円
上記の計算例の通り、法定相続人が多いほど、相続税の課税金額が少なくなります。相続税の課税額が多いほど納税資金が足りなくなり、不動産を処分せざるを得なくなるケースが増えます。また、基礎控除の範囲内になったとしても、遺産額が少なくてもトラブルになることもあるため、事前の注意が必要です。

❏ 相続トラブルを防ぐ対策:被相続人編

相続トラブルを防ぐために、被相続人が存命中に行っておいたほうがよいと考えられるものをまとめました。相続はいつ発生するかわかりませんので、できるだけ早い時期から必要な情報を収集し、当事者間で話し合い、予め分け方を決めておくのが効果的です。

1. 財産目録を作成する

相続対象になる財産にはどんなものがあり、それぞれどれだけの価値を持っているのかという目録(一覧表)を作成しておくと、遺産分割の方向性を見出しやすくなります。分割が難しい財産(不動産など)が含まれている情報を共有できれば、分割方法のための話し合いを被相続人を交えて行うことができます。また財産
目録を作っておくと、相続税の課税対象かどうかの判断、課税対象となる場合の課税額の見通しも事前に得られるため、効果的な節税ができる余地も生まれます。

2. 法定相続人同士の合意形成と遺言書の作成

遺産「分割」は、複数の法定相続人が利害調整をすることです。被相続人が存命、健在のうちに法定相続人全員で話し合いを持ち、合意形成をしておくことはきわめて有効です。遺言書には法的効力があるため、その内容にもとづく遺言書を作成しておけば遺産相続の内容を早い段階で確定させることができます。

3. 法定相続人を把握しておく

法定相続人同士の利害調整をするためには、法定相続人が誰で、何人いるのかを把握しておく必要があります。その理由は被相続人の他界後に行われる遺産分割協議は法定相続人「全員」の合意が必要になるからです。被相続人の配偶者や子供などの他に、もし被相続人に非嫡出子(いわゆる隠し子)がいた場合、その子供も法定相続人となります。被相続人が健在の時であれば、その子供の存在を知っているため法定相続人の全体像を把握しやすいのですが、他界後は「遺産分割協議書が完成した後に隠し子が名乗り出てきた」という事態も考えられます。この場合は名乗り出てきた子供も含めて遺産分割協議のやり直しになります。存命のうちに戸籍を遡って確認しておくことが望ましいでしょう。

4. 課税の有無を確認し、必要に応じて節税対策を講じておく

すでに述べたように相続トラブル調停件数のうち大半が相続財産額5,000万円以下であることを考えると、この層にある人が適切な節税対策(生前贈与や特例の活用など)を講じることで課税対象から外れれば、相続トラブルを事前に防げる可能性があります。
相続税対策はできるだけ早い時期から進めていくことで効果が大きくなるため、課税の有無だけでも事前に確認しておくことが推奨されます。

5. 被相続人が存命中に弁護士や税理士を選定しておく

相続トラブルは人災であり、感情の対立という側面も大きいため、相続人同士だけで話し合いをするよりも第三者であり法律の専門家である弁護士や税理士が関与した方が円満解決の可能性が高くなります。遺産分割の内容が適法かどうかを判断できるのも専門家ならではです。被相続人が存命中に専門家を選定し、事前協議の段階から関与してもらうのが理想的です。とはいえ、弁護士や税理士であれば誰でも良いというわけではありません。必ず「相続実務の実績が豊富な専門家」を選ぶように注意してください。

❏ 相続トラブルを防ぐ対策:相続人編

ここでは相続トラブルを防ぐために、法定相続人の立場から取れる対策について解説します。相続が発生してからのトラブル回避策と、相続発生後にトラブルが起きてしまった場合の対策も含みます。

1. 遺言の有無を確認し、無ければ探す

被相続人が他界したら、まず遺言の有無を確認し、被相続人の持ち物、あるいは公証役場や法務局(自筆証書遺言書保管制度)に遺言書がないか探してみてください。遺言書がない場合は民法で規定されている比率で遺産分割をすることになります。しかし、「分割の難しい財産がある」「別の形で遺産分割をする」のであれば、法定相続人の間で遺産分割協議を行うことになります。

2. 【重要】相続トラブルに関わりたくない場合の注意点

遺産分割協議がまとまらず相続トラブルに発展し、遺産相続そのものに関わりを持ちたくないと判断した場合は「相続放棄」という選択肢があります。法定相続人として有している権利を放棄するため遺産相続の権利はなくなりますが、相続による問題とは無縁でいられる可能性が高くなります。しかし、この手続きには重大な法律上のルールがあります。
【3ヶ月の期限】
家庭裁判所への相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に申し立てる必要があります(民法第915条)。
【法定単純承認のリスク】
すでに遺産分割協議の場に深く参加して分け方の意見を述べたり、財産の一部を処分・消費したりした場合は、民法第921条の「法定単純承認」とみなされ、以降は一切の相続放棄ができなくなります。
したがって、「話し合いが泥沼化してトラブルになったから、後から放棄しよう」というのは原則として認められません。もし期限を過ぎたり、すでに協議が始まったりした後に離脱したい場合は、自身の持つ相続権の枠組みを他の相続人に譲る「相続分の譲渡」や「相続分の放棄」という別の法的手続きを用いることになります。

3. 遺産を借金が上回る場合は相続放棄の選択肢がある

被相続人に借金があってそれが相続できる財産額を上回るというケースの場合、財産と借金の両方を相続してしまうと差し引きでマイナスになってしまうため、相続によって不利益を被ることになります。これを回避したい場合も前述の「相続放棄」が有効です。法定相続人の全員が借金の相続を避けたい場合は、全員が相続放棄をすることで借金を引き継ぐ必要はなくなります。ただしここで注意が必要なのは、法定相続人には順位があり、順位の高い人が相続放棄をすると1つ下の順位にあたる人に相続権が移ることです。

借金の相続を避けるためには下の順位にあたる人も相続放棄をしなければなりません。法定相続人には配偶者と血族があり、血族には以下の階層があります。
第1順位: 子供(子供が亡くなっている場合は孫などの代襲相続人)
第2順位: 直系尊属(父母、祖父母など)
第3順位: 兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥と姪)
配偶者や第1順位の法定相続人が相続放棄をした場合は第2順位の人に相続権が移り、この人たちも放棄をしたら第3順位の人に相続権が移ります。上の順位からマイナスの相続財産が回ってくることが予想される場合は、下位にあたる人たちにもあらかじめ周知しておかないと、新たな親族間トラブルを引き起こす原因になるため留意しておくとよいでしょう。

4. 家庭裁判所に調停を申し立てる

遺産分割の内容などが合意に至らず相続トラブルに発展してしまったら、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
具体的には裁判官と調停委員で構成される調停委員会がトラブルになっている当事者双方の言い分を聞き、法的な整合性を踏まえた調停案を提案し、双方の歩み寄りを促すという形がとられます。
遺産分割調停の概要や手続き方法、必要書類などについては、以下の裁判所公式ページをご参照くだい。
【参考】https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
「遺産分割調停」検索

❏ まとめ

相続財産のうち多くの割合を不動産が占めているケースも多いのが実情です。2026年現在の不動産相続においては、2024年4月に施行された「相続登記の義務化」への速やかな対応(怠った場合の過料10万円リスクの回避)が必須となっています。また、古い実家などの不動産をどう維持・活用・売却するかを検討する際にも、年々変化する法規制やコストに関する専門的な知見が必要不可欠です。
相続人の間で話がまとまらず揉めているなどのケースは弁護士に相談し、申告書類の作成は税理士に相談するべきでしょう。そして、不動産についての相談はやはり不動産会社にするべきです。

不動産は事前の相続税対策にも有効であり、相続時の評価方法によっても納税額には差が出てきます。相続実務に強く、現在の制度に精通した不動産会社がハブとなり、必要に応じて専門家である弁護士や税理士に頼ることが、実は相続における一つの効果的な形といえるでしょう。

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