家をとられて税金も?離婚時の財産分与の税の罠とは|不動産相続の相談窓口|株式会社マトリックストラスト
夫婦関係に終わりを告げるとともに、住み慣れた家にもさようなら。家族のためにがんばって会社勤めをし、コツコツとローンを返済して手に入れたマイホームが、離婚による財産分与で相手のものに。悔しくてたまらないという心境に追い討ちをかけるように、弁護士が言います。「確定申告をして税金を払う必要があります。」なぜこのような事態になったのでしょうか?

❏ 離婚時に自宅を分与した場合、譲渡所得税がかかる可能性がある
次のような場面を想定してください。ある事情で離婚し、自分の名義で買った自宅には相手が住み続けることになりました。
もちろんこの土地と建物の名義は相手のものになります。自宅を失うだけでも大きな痛手です。しかし場合によっては所得税を納めなければなりません。所得税は文字どおり、何らかの形で所得が発生したときに納税義務が生じます。一見すると上記の場面では得たものが何もないのになぜ納めなければならないのでしょうか?
不動産を売ったとき、その金額が買ったときの金額よりも高かった場合、その差額には所得税がかかります。「不動産を売って儲けたのだから、そこに税金がかかる」わけです。この税金計算上の利益を「譲渡所得」と言います。例えば3,000万円で購入した自宅(※建物の減価償却を考慮した後の金額)を4,000万円で売ったとき、差額の1,000万円は譲渡所得となり、原則として税金が課されます。離婚による財産分与の場合も、売却と同じように考えます。3,000万円で買った自宅を相手に分与したとき、時価が4,000万円に上がっていたとします。この場合も先ほどと同じように、差額の1,000万円が譲渡所得となり、納税の義務が生じるのです。離婚の財産分与も売却も、税金計算上は同じように取り扱われます。そのため売却時の自宅の価値が購入時よりも上がっていたら、分与する側が所得税を納めることになるのです。

❏ マイホーム特例を使うなら離婚後に
原則としては上記のように、納税義務が発生します。ただし自宅の売買は税制上の優遇措置があるため、活用すれば税金を支払わなくて済む場合もあります。そのためにはあるポイントが外せません。優遇措置とは「居住用財産(マイホーム)を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。譲渡所得から3,000万円
を差し引くことができるので、大幅な税金の節減になります。
地価が高騰するなどしてよほど時価が大きくならない限り、分与する際の所得税の負担を大きく軽減させるでしょう。この特例にはいくつかの要件がありますが、そのうちのひとつが「親子や夫婦など特別な関係でないこと」です。つまり夫婦間の贈与・売買では使うことができません。そのため譲渡所得の3,000万円特別控除を使う場合には、正式に離婚してから財産分与として譲渡し、名義を変更する必要があるのです。これが先ほどお伝えした、外せない「あるポイント」です。
❏ 離婚前の名義変更は贈与税がかかるリスクも
自宅の名義変更を離婚届の提出と財産分与前に行ってしまうと、通常の夫婦間の贈与とみなされ、贈与税がかかるリスクが非常に高くなります。婚姻期間が20年以上の夫婦であれば最高2,000万円まで控除できる特例(配偶者控除)もありますが、そもそも離婚した後に財産分与として名義変更をすれば、財産の隠匿や、婚姻期間に対してあまりにも多すぎる配分でない、すなわち常識的な範囲内である限り贈与税は一切かかりません。税金面の手続きをスムーズにするためにも、名義変更と財産分与は離婚後に行うのが鉄則です。


