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不動産相続の相談窓口コラムVOL.73|認知症の人が相続人になった場合の 相続手続きはどうする?

不動産相続の相談窓口コラムVOL.73

認知症の人が相続人になった場合の相続手続きはどうする?

相続が発生し、相続人の中に認知症の人がいた場合には遺産分割協議などはどのように行えば良いのでしょうか。相続発生後にはさまざまな手続きが必要となりますが、今回は相続人に認知症の人がいる場合の手続きの進め方や事前に行える対策などを解説します。

❏遺産分割協議はどのように行う?

遺産分割協議は相続人全員の合意がなければ成立しません。認知症の相続人を含めて遺産分割協議を進める必要がありますが、協議を行うためには意思能力が必要です。しかし、認知症が進んで意思能力が失われている場合、本人が参加して行った遺産分割協議は無効となってしまいます。(※認知症であっても症状が軽度で意思能力があると判断される場合は、本人が協議に参加できます。)意思能力がない場合には、法定後見制度を活用して認知症の相続人に代理人などを立てることが必要です。成年後見制度には「法定後見制度」「任意後見制度」の2種類がありますが、ここでは、すでに判断能力が不十分な人を保護・支援する
ための「法定後見制度」の概要を解説します。

【法定後見制度の3つの区分】
後見
精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害等)により、判断能力が欠けているのが通常の状態にある者を保護・支援するための制度です。成年後見人が本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為を行ったり、本人が行った不利益な法律行為を後から取り消したりすることができます。
保佐
精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害等)により、判断能力が著しく不十分な者を保護・支援するための制度です。「お金を借りる」「保証人となる」「不動産を売買する」など法律で定められた一定の行為について保佐人の同意が必要となります。保佐人の同意を得ずに行った行為については、本人または保佐人が
後から取り消すことが可能です。
•補助
軽度の精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害等)により、判断能力が不十分な者を保護・支援するための制度です。家庭裁判所の審判によって、特定の法律行為について家庭裁判所が選任した補助人に同権・取消権や代理権を与えることが可能となります。

このように法定後見制度を活用すると、後見人等(または後見人等が代理権を持つ場合)が本人に代わ法律行為などを行うことができますので、遺産分割協議が進むことになります。

※利益相反(りえきそうはん)に関する注意点
後見人等自身も同じ相続の相続人である場合、本人と後見人等の利益がぶつかる「利益相反」となるため、後見人等が本人を直接代理することはできません。この場合、後見であれば家庭裁判所に「特別代理人」の
選任を申し立てる必要があり、代理権のある保佐・補助であれば「臨時保佐人」「臨時補助人」の選任を申し立てる必要があります。ただし後見人等は本人の権利と財産を守る立場にあるため、本人の相続する財産が法定相続分より少なくなるような不利益な遺産分割協議には原則として合意することができません。
また、法定後見制度については、現行制度の使いやすさ向上に向けた見直しの検討が進められています。

❏ 遺産分割協議をせずに相続する方法も考えられるが……

遺産分割協議をせずに財産を相続する方法も考えられます。不動産について「法定相続分」通りに相続登記を行う(共有登記をする)場合、遺産分割協議を行う必要はありません。ただし、不動産を相続人全員の共有とした場合、将来売却や処分をしようとした際には共有者(相続人)全員の同意が必要となります。また、
預貯金の全額解約や名義変更の手続きを行う場合にも、原則として相続人全員の同意が必要となり、認知症の相続人がいると手続きが難しくなることがあります。
そのため、法定相続分で形式的に相続したとしても、将来不動産を売却・処分する際や預貯金を解約・払戻しする際には認知症の人に代理人が必要となり、結果として法定後見制度の利用が必要になるケースが多くあります。
また法定相続分での相続の場合、税負担の軽減を考慮した柔軟な遺産分割を検討することができないため、税負担が想定より大きくなってしまう可能性もあります。さらに各相続人の意向を完全には反映できない遺産分割になるため、相続人によっては不満や不信感を持つようになり親族間の関係が悪化してしまう可能性があることも懸念材料の一つです。

❏ 事前に行える対策は?

事前に行える対策として「遺言書を残しておくこと」が挙げられます。遺言書があれば原則として遺産分割協議を行う必要がなくなり、後見人などの代理人を立てずに相続手続きを進められるケースが多くなります。ただし、遺言書の内容(例えば本人の取得する財産の管理が必要な場合など)や預貯金の解約手続きの指定方法によっては、本人の代わりに意思表示をする人が求められ、やはり成年後見人等の設置が必要となる場面も生じます。また、認知症の症状が進む前に「任意後見契約」を結んでおくことや「家族信託」を活用することも有効な事前対策となります。
このように認知症の人が相続人となった場合には、本人はもちろんほかの相続人や親族にも影響やデメリットが生じる可能性があるため、通常の相続とは違った対策を早めに検討しておくことが重要になります。

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