不動産相続の相談窓口コラム|≪遺贈による寄付とは何か?≫
不動産相続の相談窓口コラム|≪遺贈による寄付とは何か?≫
遺贈は遺言書によって自分の財産を渡す行為です。相続人はもちろん、相続人以外の人や団体に対しても行うことができるため、生前に遺贈先を決めておき自分の死後に財産を寄付することもできます。今回はこのような遺贈による寄付について概要や要件を紹介します。

❏遺贈の概要と寄付の流れ
遺贈は遺言書によって自分の財産の全部または一部を無償で譲渡することをいい、遺言者が死亡したときに効力が発生します。遺贈は相続人に対しても行うことができますが、実務上は相続人以外に財産を渡したい場合に利用されることが多く、相続人に対しては「相続させる」と記載することが一般的です。「A銀行の預金を遺贈する」など特定の財産を指定するものを「特定遺贈」と呼び、「財産の2分の1を遺贈する」など、財産の割合を指定するものは「包括遺贈」と呼びます。寄付では実務上、特定遺贈が用いられます。包括遺贈では受遺者が債務も引き継ぐことになるため、寄付先が受け入れをためらうことが多いのです。また遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がありますが、寄付を考えた場合には公正証書で遺言を作成するのがおすすめです。さらにその中で自分の死後に遺言書の内容を実行する「遺言執行者」を指定しておくことが重要になります。遺言書の内容が決まったあとは、寄付をしたい団体などにその旨を知らせておきましょう。亡くなった後に突然、寄付の連絡が入っても寄付を受ける側の準備が整っていない場合もあります。そのため生前に寄付する旨と財産の内容、寄付を考えるに至った経緯などを伝えておくことが必要です。そして自分の死後に遺言執行者が遺言書の内容を実行し寄付が行われることになります。

❏寄付できる財産と寄付先
遺贈による寄付は、個人・法人を問わず誰にでも行うことができます。税金の扱いは、寄付先が個人か法人かで大きく変わります。寄付先が法人の場合、親族が実質的に支配する法人など一部の例外を除き、法人に相続税は課されません。ただし、その法人にとって「受贈益」となり、益金算入されて法人税等が課税されます。また、不動産や株式など値上がり益のある財産を法人に寄付した場合は注意が必要です。時価で譲渡したものとみなされ、被相続人に譲渡所得税が生じます。
しかもこの申告と納税は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に相続人が準確定申告として行うことになります。寄付をしていない相続人が税負担を負う形になるため、事前の説明が欠かせません。これとは別に、この譲渡所得税には非課税の特例もありますが、国税庁長官の承認が必要で、原則として寄付の日から4か月以内の申請が求められます。一方、寄付先が個人の場合、受け取った財産は相続税の課税対象です。しかも配偶者および一親等の血族以外の個人が遺贈により財産を取得した場合には、原則として相続税額が2割加算されます。ただし、宗教・慈善・学術その他公益を目的とする事業を行う個人などが取得し、その事業に使われることが確実な場合には相続税がかかりません。(個人経営の幼稚園の事業用財産などが該当します。)なお、相続人が相続財産を特定の公益法人などに寄付した場合には、相続税の申告期限までに寄付するなどの要件を満たせば、その財産に相続税がかからない特例もあります。
❏ 寄付を検討する際の注意点
寄付を検討する際の注意点は、通常の相続対策と共通します。例えば、ほかに相続人がいる場合には「全財産を公益法人○○に遺贈する」といった内容の遺言書であると、相続人は納得しない可能性が高いです。また、ここまで極端でなくとも各相続人の「遺留分」を侵害するような寄付の内容では、相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があり、寄付先が金銭負担を負うなど、遺言者の意図どおりの結果とならない場合があります。そのため相続人の遺留分にも配慮して寄付を行うことが必要です。また寄付をする財産ですが、不動産・株式などの現物ではなく現金・預貯金で寄付をしたほうが寄付先も受け入れやすくなります。現物の財産は、換金性が低く寄付先が現金を手にするまでに時間がかかることも考えられますし、先述の通り値上がり益による譲渡所得税がかかる場合もあるのです。スムーズな寄付を行うためには、できるだけ現金・預貯金による寄付を検討したほうが賢明です。このように自身の財産を死後に寄付をすることで寄付先の団体などの活動に貢献することができます。遺言書や税制が関係するほか、寄付先との事前の話し合いも必要になるため、寄付を検討している場合には専門家へ相談をしてアドバイスを仰ぐことがおすすめです。


