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限定承認の件数はごくわずか! マイナーになる3つの理由|不動産相続の相談窓口|株式会社マトリックストラスト

相続の方法にはすべての財産を引き継ぐ「単純承認」、すべての財産の引き継ぎを放棄する「相続放棄」の他に「限定承認」というものがあります。
しかし限定承認は、ある理由により、実際はほとんど活用されていません。今回は、限定承認の意義とあまり活用されない理由について解説します。

❏ 相続放棄は10万件以上なのに限定承認は1,000件以下

少子高齢化が進み、相続は現役世代の誰にとっても他人事ではない時代になりました。なかには借金や自宅の引き継ぎを嫌って「相続したくない」という相続人もめずらしくありません。すべての財産の引き継ぎをしないためには「限定承認」もしくは「相続放棄」のどちらかを実行する必要がありますが、限定承認は相続放棄に比べてほとんど選択されません。裁判所が公表している2024年度の「裁判所司法統計年報家事編」によると相続放棄の件数が30万8,753件であるのに対し、限定承認はわずか690件です。

1949年度の181件と比較するとかなり増えたことになりますが、限定承認の申述・受理件数は1,000件を超えたことがありません。これは後述する限定承認の難しさが背景にあるといえるでしょう。

❏ 限定承認とは

そもそも限定承認とはどのような手続きなのでしょうか。限定承認とは、相続において被相続人の債務がどのぐらいあるか分からないときにプラスの財産を限度としてマイナスの財産を引き継ぐことです。ここでいうプラスの財産とは現預金や不動産など財産価値のあるもの、マイナスの財産とは借金などの債務や未払税金、保証債務などといった負債を指します。被相続人の借金が相続財産を上回るほど多い場合、通常の相続(単純承認)を行うと引き継いだ債務のうち相続財産で弁済しきれないものは相続人固有の財産から
支払わなくてはなりません。しかし限定承認を選択すれば相続財産で弁済可能な分だけ債務を引き継げばよいこととなります。

❏ 限定承認が使われない3つの理由

限定承認はプラスの財産も含めて丸ごと引き継ぎをやめてしまう相続放棄よりもメリットがありそうな内容ですが、いったいどうして活用度合いが低いのでしょうか。これには3つの理由があります。

• 理由1 手続きが大変
限定承認は手続きが煩雑です。まず相続開始があったことを知った日から3ヵ月以内に限定承認の申述を家庭裁判所に行わなくてはなりませんが、この申述には共同相続人全員が共同で行う必要があります。また限定承認は、官報での債権申出の公告や債権者・受遺者への配当弁済を行うことが必要になるため、実際の限定承認は弁護士や司法書士などの専門家に依頼して行うケースがほとんどです。

• 理由2 余計にお金がかかる
限定承認を行うと、公告費用や専門家への報酬などで追加でお金がかかります。さらに限定承認を行った場合には、税務上、被相続人から相続人に対し時価で財産の譲渡があったものとみなされて「譲渡所得」が発生することがあります。その結果、相続人は相続開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に、被相続人の所得税の申告(準確定申告)と納付を、相続財産の中から行わなくてはなりません。

• 理由3 要件が厳しい
限定承認は無条件で認められるわけではありません。少しでも「処分」あるいは「隠匿」と認められる行為があれば、法律上、相続する意思があるとみなされ(法定単純承認)、限定承認の効力が認められなくなるおそれがあります。「処分」には、不動産の売却や預貯金の私的な使い込み、賃貸借契約の解約など、「隠匿」
には文字通り財産隠しが該当します。「これくらいは大丈夫だろう」と思われる行為がこれらに該当することもあるので注意が必要です。

❏ 使いにくい限定承認!こんなメリットも

限定承認は上記3つの理由から使いにくく、ほとんど活用されませんが、場合によってはメリットがあります。それは、「被相続人の財産の一部だけを押さえておくことができる」という点です。
例えば、被相続人の思い出の指輪で高額なものがあったとします。どうしてもその指輪だけは引き継ぎたい場合、限定承認を選ぶことも選択肢の一つです。なぜなら、限定承認を行った相続人が「先買権」を行使して優先的に指輪を購入することができるからです。相続放棄ではこのような権利を行使することはできません。このようなメリットがある一方、やはり煩雑さやコストが壁になります。検討する場合には専門家に相談するとよいでしょう。

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